学習机事件(地裁)
昭和45年(ワ)第507号(意匠権侵害訴訟)
原告は机の意匠権(意匠登録第284774号)を保有し、被告が書架付き学習机を販売(意匠登録第284355号)したため、机部分が類似するとして差止を求めた。
裁判所は、全体では非類似としつつも、机部分は原告意匠と類似し、書架付き学習机の中で独立して存在するため、意匠法26条の利用関係が成立すると判断した。その結果、被告の製造販売行為は原告意匠権の侵害となり、差止請求が認められた。
なお、登録番号は被告の登録意匠の方が若いが、出願日は原告意匠の方が早い。

ポイント
- 原告意匠は「机」であるのに対して、被告意匠は「机に書架を結合して一個の物品となした学習机」であるから、物品非類似と裁判所は判断した。
- 利用関係の成立態様について、①物品は異なるが、他人の登録意匠と同一又は類似の意匠を部品として別の物品に係る意匠を実施した場合、②物品が同一で、他人の登録意匠にさらに形状・模様・色彩等を結合して全体としては別個の意匠としたとき、の2パターンあると判断した。
なお、上記①、②のいずれでも、「他人の登録意匠の特徴が破壊されることなく、他の部分と区別しうる態様において存在することを要し、もしこれが混然一体となつて区別できないとき」は、利用関係の成立は否定されると判断した。 - 被告意匠の「書架付き学習机」の中に原告意匠と類似する「机」部分が独立して存在し、被告意匠を実施すると必然的に原告意匠を実施することになるため、裁判所は利用関係の成立を肯定した。
学ぶべきポイント
- 両意匠が登録されている場合、後願意匠が先願意匠を利用するものであるときは、利用関係が成立し、後願意匠の実施は制限されることとなる。
- 意匠同士を対比した際に全体として非類似であっても、利用関係が成立すると侵害となり得る。
