減速機付きモーター事件(高裁)

平成15年(ネ)第1119号(意匠権侵害訴訟)

本件は、減速機の意匠登録(意匠登録第798521号)を有する控訴人が、被控訴人の製造販売する「減速機付きモーター」が意匠権を侵害するとして、差止め・廃棄・損害賠償を求めた事案である。
原審(地裁)は請求を棄却し、控訴人が控訴したが、高裁は「被控訴人製品の減速機部分は減速機付きモーターという物品の一構成部分にすぎない」、「流通過程において外観に現れず視覚を通じて認識できない物品の隠れた形状は考慮できない」として、地裁と同様に棄却した。

ポイント

  • 「登録意匠の物品:減速機」、「被控訴人製品:減速機+モーターが一体化したギヤードモーター」→物品が異なると判断した。
  • 登録意匠の要部である「モーター側端の膨出部形状」が外部から認識できない等を理由に、全体として異なる美観を与えるため非類似と判断した。
  • 「減速機+モーター」を一体として流通していたため、「減速機部分は独立して認識される」との控訴人の主張は認められなかった(構成部分だけを切り離して類否判断することはできない)。
  • 意匠は「視覚を通じて美観を起こさせるもの」であり、「流通過程で外観として認識できない形状は保護対象外」と裁判所は判断したことから、「創作保護の観点から内部形状も保護されるべき」との控訴人の主張は認められなかった。
  • 裁判所は、「要部である膨出部形状が外部から認識できない」と判断したため、「被控訴人製品は登録意匠を包含している(利用関係にある)」との控訴人の主張は認められなかった(利用関係も成立しない)。

学ぶべきポイント

  • 意匠の保護対象は「流通過程で外観として認識できる部分」に限られる。
  • 内部形状・隠れた部分は侵害判断の対象外となる。
  • 利用関係について、外観として認識できない部分は利用関係は成立しない。

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